フリマ出店の準備は、家の品を「フリマに出す・買取に回す・家に残す」の三つに分け、値段を調べて値札を付け、持ち物と当日の体力の段取りを整える、という順に進めます。私と妻は開催の一か月前から少しずつ取りかかり、前日は車への積み込みだけにしています。七十歳の身にも無理のない進め方です。
準備は一か月前から、四つの節目で
出店の準備は、一か月前から四つの節目に分けて、一つずつ片づけていくのが楽です。一度にやろうとすると、必ずどこかで息切れします。私たちは開催日から逆算して節目を決め、それぞれに仕事を一つだけ割り当てています。
- 一か月前:家の中から出す品を選ぶ
- 二週間前:値段を調べ、値札を書く
- 一週間前:持ち物をそろえ、釣り銭を用意する
- 前日:車に積み込み、早めに休む
節目ごとに一つ、というのが肝心です。教師時代、定期試験の採点も、一日に一クラスと決めてしまえば不思議と終わりました。出店の準備も同じで、今日はここまで、と決めておくと、気持ちに余裕が生まれます。
品選び──「出す・買取に回す・残す」の三つに分ける
品選びは、家の品を「フリマに出す」「買取に回す」「家に残す」の三つに分けることから始めます。台所の片づけで使った「捨てる・譲る・残す」のうち、「譲る」の中身をもう一段分けるやり方です。片づけの手順は、七十歳から始める、台所引き出しの片づけに書きました。
- フリマに出す:日用の食器、文庫本、韓国土産の小物など、値段の見当がつき、手に取って話のできる品
- 買取に回す:貴金属、記念硬貨や古い切手、カメラなど、値打ちの見当がつかない品
- 家に残す:妻や子どもたちの思い出が詰まった品。迷ったら、自分一人で決めずに家族に尋ねる
値打ちの見当がつかない品は、フリマに出す前に専門の方に見ていただく。これは、初出店で万年筆を安く手放した私の、苦い教訓です。私は近所の買取大吉さんに相談していますが、買取店の取扱品目は店によって違いますから、持ち込む前に電話で確かめておくと安心です。
なお、自分で使っていた物や、使うつもりで買って使わなかった物を売るだけなら、古物商の許可は要りません。愛知県警察の案内でも、許可が必要ないケースとして「自分の物を売る」ことが挙げられています。ただし、はじめから売るつもりで仕入れた品は話が別ですので、ご注意ください(愛知県警察「許可・届出の要否の確認」)。
値付けと値札──相場を調べ、品によって物差しを替える
値付けは、同じような品がいくらで売られているかを調べたうえで、品の性質によって値を変えるのが基本です。量産の日用品なら相場の半値くらい、銘のある品や状態の良い品なら相場に近い値を付けます。
初出店のとき、私は何もかも「相場の半値」でそろえてしまいました。日用品はそれで良かったのですが、万年筆まで同じ物差しで測ったのが失敗でした。品によって物差しを替える。二度の出店で学んだのは、結局このことです。
値札は、次の四つを決まりにしています。
- 値段は百円単位の切りのよい数字にする。釣り銭のやりとりが楽になります
- 画用紙を小さく切り、筆ペンで書く。墨の文字は、古い品物によく合います
- 裏に来歴を一行だけ書く。どこで、いつ、誰と手に入れたかを短く
- 値下げの相談に応じる品と応じない品を、あらかじめ妻と決めておく
裏の一行がどれほどお客さまとの会話を生んでくれたかは、名古屋アンティークマーケット、二度目の出店で変えたことに書いています。
持ち物──私たちが車に積むもの
持ち物は、売り場を作る道具、お金の道具、包む道具、天気の道具、自分たちの身を守る道具、の五つに分けて考えると漏れがありません。私たちが毎回積んでいるのは、次のとおりです。
- 売り場の道具:レジャーシート、折りたたみテーブル、風呂敷や布、皿を立てかける小さな木箱、値札の予備と筆ペン
- お金の道具:釣り銭(百円玉と千円札を多めに)、首から下げる小銭入れ、売れた品を書き留めるメモ帳
- 包む道具:新聞紙、緩衝材、紙袋
- 天気の道具:品物を覆うビニールシート、洗濯ばさみ、傘
- 身を守る道具:折りたたみの腰掛け、水筒と昼食、膝掛けや使い捨てカイロ、常備薬
釣り銭は、思ったより早く減ります。百円玉は多すぎるくらいでちょうど良い、というのが妻の持論です。
出発の朝、妻は今でも「忘れ物はない?」と三度尋ねます。三度目に胸を張って答えられるよう、この一覧を紙に書いて、玄関の内側に貼っておくことにしました。
七十歳の体力配分──今秋は初の三日間開催
年を取ってからの出店で、いちばん気をつけたいのは体力の配分です。荷物は台車で運ぶ、店番は交代で休む、前の晩は早く寝る。これだけで、翌日の疲れ方がずいぶん違います。
今秋の第十九回名古屋アンティークマーケットは、二〇二六年十一月二十一日(土)・二十二日(日)・二十三日(月・祝)の三日間です。公式サイトによれば、三日間の開催はシリーズで初めてとのこと。開催時間は、東別院が十時から十七時、西別院が九時半から十六時半となっています(二〇二六年十月十七日、公式サイトで確認)。
開催が三日間となれば、出店する側も体力の勝負です。私たち夫婦は、次の三つを決まりにしました。
- 店番はおおよそ一時間ごとに交代し、どちらかが必ず腰掛けて休む
- 補充用の品は別の箱にまとめ、「補充」と書いておく。売れて空いた場所に、その日のうちに足せるように
- 十一月の境内は朝夕に冷えるので、重ね着と膝掛けを欠かさない
名古屋アンティークマーケットは公募制で、出店する場所も運営の方が決めます。申込みの区分や細かな決まりは回ごとに変わることがありますので、出店を考える方は、必ず名古屋アンティークマーケット公式サイトと運営からの案内で確かめてください。来場する側としてなら、十八歳未満と七十歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方は、受付で身分証を見せればリストバンド代が無料になる、と公式サイトに案内されています。
準備も、身じまいのうち
出店の準備をしていると、家の中の物を、一つずつ手に取って見直すことになります。これは何のために買ったのか。誰と使ったのか。もう一度使う日は来るのか。
品選びも、値付けも、持ち物の一覧も、結局は自分の持ち物を知るための作業なのだと思います。フリマで手放すのは、その結果のほんの一部にすぎません。準備そのものが、身じまいのうちなのです。
初めての出店の二日間は名古屋アンティークマーケット、初出店の記録に書いています。あわせてお読みいただければ幸いです。

